2012年9月28日金曜日

師匠の来日公演が間近なので、、、vo.3

『歌うシタール奏者 U・シュジャート・カーン』

元々は器楽奏者が歌うということはなかったのですが、先代のU・ヴィラヤット・カーンから、曲のテーマメロディの部分だけを歌詞のないハミングのような歌で歌うというスタイルが始まりました。

U・シュジャート・カーンも、そのスタイルを継承しつつ歌詞のあるテーマ・メロディを歌いますが、U・シュジャート・カーンの場合、それだけに止まらず、インド民謡のガザルやスーフィも歌います。古典シタール奏者としてのステージやアルバムのリリース以外にも、歌手といても沢山のアルバムをリリースしています。

本人にとっては、特に違和感がある訳でもなく楽々とこなしていますが、最初は非難轟々だったようです。現在でも、ここまでシタール奏者と歌手を両立してる演奏家はいないのですが、最近は、器楽奏者もテーマは歌うことも珍しくなくなり、新しい形式のようにもなっています。

インド音楽の場合、膨大な理論体系と数学的な構造のお陰で、どこまでも展開できますが、反面、理屈っぽかったりテクニカルすぎたりする傾向もあります。U・シュジャート・カーンの場合、「そんなの歌を聴けば分かるだろ。イチイチどの音が重要だとか関係ないよ。歌をよく聴け。」とか言ってしまうスタイルです。なので、なぜか「青葉城恋唄」まで歌えます、それもかなり上手い日本語で、、まぁ、ものすごく耳は良いです。(昔、日本に来た時覚えたようですが、今でもほぼ完璧に歌えます。日本語で)

まぁ、それでも十分に理論やテクニックはあるのですが、そういうのを直線的に並べて演奏することはなく、ざっくり音を削ぎ落として空間を活かしたり、民謡のような無垢なメロディを描いたり、と思えば、溢れるばかりのメロディを描いたり、ものスゴく早いテンポの中に呟くようなメロディを弾いたり、、他のインド音楽奏者にはない独自の音楽性やダイナミクスを持っています(優れた演奏家は、みんなそれぞれ独自もスタイルを持ていますが)。そして、音を詰め込み過ぎず、音楽全体が隅々までコントロールされ、どういう場面でも「歌」が聞こえる、、、という感じです。

来日公演の詳細
(まだチケット買ってない人は、もう買った方がいいよ)
http://celestia.co.jp/schedule/2213.html

師匠の来日公演が間近なので、、、を読んで、本人のインタビュー映像(日本語字幕)見ると、人となりも分かっていいよ。
http://celestia.co.jp/feathers/3482.html


映像は、イランの演奏家ケイハン・コルホール演奏。
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2012年9月26日水曜日

師匠の来日公演が間近なので、、、vo.2

『U・シュジャート・カーンとU・ヴィラヤット・カーン』


インド古典音楽の場合、ラーガと呼ばれるメロディの膨大な体系があります。この名前は紀元前1000年くらいに書かれた文献にも出でくるようで、なんだかなんだで3000年くらい伝承されてます。

北インドの場合、中世にペルシャや中央アジアの影響も受けて、いろいろな形式が次第に作られていき、その中に「カヤール」という演奏形式が生まれます。この「カヤール」という演奏形式は、それ以前の厳格な様式とは打って変わって、かなり自由度の高い演奏をするのが特徴です。

なので、この「カヤール形式」の場合、即興的な要素も強く、演奏者はラーガの基本的な規則性は踏まえつつ、どう解釈して、どういうアイデアや音楽性を演奏に盛り込むかが勝負なところもあります

だから、インドにも有名な演奏家を上手くコピーしてる人は沢山いますが、コピーの人は、やっぱり仕事なないようです。まぁコピーは、あくまでソックリさんなだけなので。。。

U・ヴィラヤット・カーンは、1800年代に大活躍した父親のU・イナヤット・カーンを10才くらいの時に亡くし、親戚などに音楽を教わりながらも独自に修練を重ね、、(長いので略)。そういうこともあって、かなり独自なというより革新的ともいえる音楽性を生み出した20世紀シタールのパイオニアですが、、、

息子U・シュジャート・カーンも、なぜか10代で、独自のラーガ解釈と音楽性の追求のために、親の保護も七光りも捨てて家出、、、。ムンバイの映画音楽のスタジオミュージシャンをしたりと転々

で、この映像は、U・ヴィラヤット・カーンの晩年、長い家出から戻ったU・シュジャート・カーンが、父親とデュオをしていた時期のものです。U・ヴィラヤット・カーンの年齢による技術の衰えもありますが、息子U・シュジャート・カーンが、完全にU・ヴィラヤット・カーンを圧倒してます。ファンとしては涙モノの映像です。(日本でもDVD買えます)

1993年のロイヤル・フェスティバル・ホールでの演奏で、もうかれこれ20年前の公演です。実は、これより数年前の親子公演のビデオをコッソリ持っているけど、そのコンサートでは、まだ、U・ヴィラヤット・カーンの独壇場です。

しかし、息子U・シュジャート・カーンが、世の中に認められるのは、1993年よりずっと後です。いろいろ理由もあるけれど、やはり、息子U・シュジャート・カーンが父親とは違う独自の表現をしていたから、、、というのが一つ理由として上げられます。(つづく)

U・シュジャート・カーン公演詳細(はやく予約した方がいいよ)http://celestia.co.jp/schedule/2213.html